宿毛映画塾コンセプト

映像メディアがどんどん多様化していく中、

作る・演じるも様々な形を求められる時代になってきました。

リアリティがなくても漫画チックに成立させたいコンテンツや、

普遍ではなく視聴環境に合わせて仕上げていかなくてはならないコンテンツ、

またテレビドラマに至っては放送局やOA時間帯、

映画でもシネコン上映作品か単館上映作品かによっても

求められるものが違ってくるという時代に突入している感があります。

大変な時代だな・・・特に演者は(苦笑)と感じます。

ですが、そんな時代である時、

表現者はどこをベースにしていけばいいのでしょう。

求められるものに応えていくということは大切且つマストです。

しかし何をベースにした上でアレンジして自分を出していくのかということがなければ、

それは小手先でこなしたということでしかありません。

20数年のプロデューサー生活の中、
ここ数年特に感じていることを仮に樹木に例えるなら

葉や花はそこそこきれいなのだけど、それを備えてる幹が見ない、

もしくは枝のように細々い、
そういう表現者が多くなったのではないだろうかということです。

樹木は葉や花を備えられている期間より備えてない期間の方が長いですし、

ひ弱な幹には大輪の花は咲きません。表現者も同じではないでしょか。

宿毛映画塾のコンセプトは、

その根幹をちょっとでも育む手伝いをしたいということです。

ではその具体ですが、

従来のワークショップでは演出家が求めるものに演者は応え、

監督としての経験を基に監督に伝え、脚本家の資質を引き出す

ということが行われているのではないかと思います。

が、私は演出家ではないので、演者にも監督にも具体を提示することはしません。

脚本家にも手法を語ることはしません。

あくまでプロデューサーの目で何が欲しいかを探求していきます。

自分のこれまでのプロデューサー経験の中で「欲しい」と思った才能・資質の発掘、

「取り組むべき」と感じていた姿勢・方法のトライ、

「違和感」を感じていたことの放棄、それらに真摯に向かっていく。

その中で受講者の方々には自分にとって必要なものを取捨していただき、

本来の意味での「自己」とそれを「表現」する方法を見つけてもらえればと思っています。

その場所として敢えて遥か遠い四国の最西南端「宿毛」を選びました。

私の故郷でありますが、それだけの理由でこの場所を選んだのではありません。

 

「都心から移動するのに日本で2番目に時間がかかる‟市“」

にわざわざへとへとになってたどり着いたときに、

この自然以外に何もない地で「素」になった自分をどう感じ、

どう「素」で勝負できるかを共に体感してみたいからです。

色んな意味でちょっと変わった体験になるはずです。    

宿毛映画塾 塾長 松岡周作

なぜ、大田舎の宿毛で、映画塾を開講するのか?

宿毛映画塾は四国・高知県の最南西、宿毛市で開催される映画塾です。

なぜこんなところで?と思われる方が多いかと思います。

 理由は2つあります。

 ひとつは昨今の映画制作の現場における舞台設定の地方型傾向。
私が映画を始めた30年ほど前は制作の多くは、

都内近郊を中心とした作品がほとんどでした。

が、現在その傾向は大いに変わりつつあり、

地方を舞台にした作品がかなりの割合を占めてき、

また、都内の設定のものでもわざわざ地方に置き換えて

撮影をしたりしています。


 一昔前に都内近郊の作品が多かったのは、

その利便性ゆえにということと、

時代柄東京を中心とした都会に文化や流行が集まっていた

ことからそれらを描きやすい、また描かなくてはいけない、

という思いが作り手側にあったからだと思われます。


 しかしながらこの時代、どこにいても情報や文化・流行などが、

東京になんの遅れを取ることもなくキャッチでき、

加えて地方であるからこそ描ける文化や感性、

また一昔前まではやや恥ずかしい存在だった「方言」が

情緒豊かで味わい深いもの、という認識をされていくことで

地方を舞台に置くことがなんのデメリットにならない、

むしろ多くのメリットを生み出す、

ということに作り手が気づいたからだと考えます。

 またスタッフ・キャストが同じ生活空間をともにすることで

生まれる一体感や連帯感が、映画を作るという本来の姿勢をスムーズにし、

結果それが俳優の芝居を豊かにし、スタッフワークがよくなる、

という最大のメリットも付加してくるという効果が生まれています。

 これは一種のワークショップではありますが、

地方でひとつ屋根の下、同じ釜の飯を食って・・と、

進めることによって一つの映画を地方ロケで作り上げていく感覚を

体感できるのではないか、ということが始まりでした。

都内で都度集まり都度散らばっていくワークショップでは得られない、

連帯感の中で切磋し、刺激しあう環境の中でもの作りの基礎を

模索してみたい、そんな思いです。


 そして、もうひとつは宿毛市が私の出身地ということです。
 一口で地方と言っても日本は地方だらけです。

合宿体制でやるということだけならわざわざこんな遠方までくる必要はありません。

ではなぜ生まれ故郷でやろうと思ったか。

 いくつか理由があります。豊かすぎるほど自然豊かで雑念が入らず集中できる、

人々が人情豊か、海山のロケーションがすばらしく感性が高ぶる、

などなどではあったりしますが・・・最大の理由はほかにあります。

 それは今は伏せさせていただきます。

 なぜならおそらくそれを体感してほしい塾になるはずだからです。